【書籍紹介】教養としての「世界史」の読み方

今日は世界史に興味をもってもらう入門書として、本村凌二さん著作の「教養としての世界史の読み方」を紹介したいと思います。

この1冊を読むことで、学生時代に学んできたことと異なる点や深掘りてきる点が見つかります。

また、社会人として身につけておきたい教養としても読むことができます。

いずれにしても、現代を生きる私たちにとって、知っておくべき大事なことがシンプルに、そして興味深い内容がわかりやすく書かれているのでぜひ一度読んでいただきたいです。

以下、もくじに沿ってネタバレしない程度の簡単な紹介をします。

書籍と電子書籍の両方あります

もくじ

序章 「歴史に学ぶ」とは何か?

歴史を学ぶ意義についてわかりやすく書かれています。

世界が身近になり、誰もが海外旅行・海外留学に行ける時代になりました。

日本人は元来、「何かから学んで発展させる」能力が優れています。

世界史を敬遠する人も多いかも知れませんが、このグローバル化させられた世界で生きるには、もっと世界の歴史を知っておかなければなりません。

そして我々は歴史から学んで生きていく必要があります。

序章では、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」、この言葉の意味を考え、これから展開される話の入り口として私たちを誘導してくれます。

第一章 文明はなぜ大河の畔から発祥したのか

「文明」と聞くと、日本人の多くは「四大文明」を思いつくのではないでしょうか。

もはやこの言葉は日本の教科書から消えていますが、ではなぜ文明は大河の近くで発祥したのか?という問いに答えられる人はどのくらいいるでしょうか?

知っているようで知らない、この素朴な疑問の答えをここでは知ることができます。

読み終えると「なるほどな」と思うはずです。

第二章 ローマとの比較で見えてくる世界

ローマはなぜ帝国となりえたのか?

古代ローマ史を専門にされている本村先生が書かれるだけあって、この章もおもしろいです。

独裁制にならないためのシステムを作り、絶妙なバランス感覚をもったローマ人。

寛容性、柔軟性、名誉心・・・このあたりがポイントになってきそうです。

ローマ時代はある意味どの時代でも学ぶことができるお手本のようなものと考えられています。

約1,000年の時代の中で、栄枯盛衰がはっきりとしており、実はそれは多少の差異はあれどんな大国も似たような歴史を歩むのです。

逆にいえば、ローマの歴史を学ぶことで、その時々で抱えている問題の答えを見つけることができるかもしれません。

個人的に、東西で使われる「皇帝」という言葉やイメージの違いがおもしろかったです。

西洋のエンペラーと東洋の皇帝はどう違うのか・・・?

ぜひ読んでみてほしいです。

第三章 世界では同じことが「同時」に起こる

世界史で起こる大きな出来事、実は離れた場所で同時期に起こっていることがよくあります。

ここではその例がいくつか載せられています。

だからどうした?偶然だろ?と、思われるかもしれませんが、これこそ教養として必要な視点だと教えてくれます。

最後の方では産業革命がなぜイギリスで起きたのか、それまで先進的だったアジアで起こらなかったのか、についても言及しています。

第四章 なぜ人は大移動するのか

この章は絶対読んでほしい。

日本人の感覚からすると、人や民族の移動というのはピンときません。

島国の中で単一民族として歴史を刻んできた日本人には、人や民族の移動が何をもたらすのか、わかりにくいからです。

でも世界をみると、ほとんどすべての国が大陸で繋がっています。

人や民族の移動の歴史を理解しないと、現代で起こっている移民問題や難民問題の理解度も乏しくなります。

なぜ人は移動するのか?なんのために移動しているのか?それを知ることができる大事な章です。

第五章 宗教を抜きに歴史は語れない

こちらも日本人には馴染みが薄いですね。

でも、宗教観をもっていない民族の方が世界的にみて稀です。

宗教史を知らないと、世界史について深く知ることはできません。

また、現代に生きる海外の方の生き方、考え方を理解することも難しくなるでしょう。

多神教から一神教が生まれる歴史の大転換、ユダヤ教とキリスト教とイスラム教の関係、現代の宗教問題について知ることができる章です。

第六章 共和政から日本と西洋の違いがわかる

ここでは民主政と共和政のはじまりからみていくことができます。

またローマと比較しながら進んでいきます。

そして日本ではなぜ共和政が根付かなかったのか。

また、現代の共和国と共和政・共和制にどんな違いがあるのか。

そういったことをわかりやすく教えてくれます。

第七章 すべての歴史は「現代史」である

さて、終章です。

すべての歴史は「現代史」である、とはどういうことなのか。

どんな時代でも、歴史を研究するときはその時=今の価値観というフィルターを通してみることしかできません。

どんなに頑張っても当時と同じ価値観で物事を分析することはできないですよね。

そういった意味で、「現代史」と言っているのだと思います。

でもこれがあるからこそ、「今」起きていることも歴史から考えることができます。

最後は「今」起きている諸問題について展開されているので、飽きがこず一気に読み終えてしまうはずです。

作者:本村凌二

早稲田大学国際教養学部特任教授、東京大学名誉教授。博士(文学)。

専門は古代ローマ史。

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