セム語系、インド=ヨーロッパ語系ってなんぞや

紀元前史★★/民族史★★★

「語族」という言葉を聞いたことがあると思います。

セム語族やインド=ヨーロッパ語族とかだね!

「○○語族」じゃなくて、「○○語系」という表現を見かけることもあるけど、違いはあるの?

そこは同じと考えて大丈夫だよ

紀元前史を学ぶとき、○○語族や〇〇語系とか、よくわからない名前が出てきて混乱することが多いと思います。

まずは頭の中で整理が必要なので、順に追っていきましょう。

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もくじ

名称と位置をイメージ!

紀元前史のオリエント世界でよく出てくる地域の名称と位置を確認していきましょう。

エジプトやナイル川はなんとなく今と変わらないしわかりますよね。

一応確認しておきたい方はこちらへ。

さて、問題は「メソポタミア」です。

結論からいうと、メソポタミアは現イラクあたりです。

ティグリス川とユーフラテス川流域にメソポタミア文明が栄えます。

メソポタミアは’’川の間の土地’’という意味のギリシア語だそうです。

小アジアっていうのもよく聞くけど、それはどこを指すのかしら?

小アジアは現トルコがあるアナトリア半島あたりです。

その他にも出てくる名前としてはシリアやパレスチナが挙げられますが、こちらは現在とほぼ変わりません。

次の画像には、メソポタミア、小アジア、シリア、パレスチナ、エジプトなど、主要な場所を示しています。

さて、イメージが湧いたところでタイトルの内容に戻りましょう。

言語グループを理解しよう

「語族」とは、同一の祖先から分かれ出たと考えられる言語グル―プのことを指します。

つまり、「語族」は各民族が使用する言語系統を示していて、民族を言語により把握しようとする分類化手段になります。

一方、遺伝学上の生物学的な特徴による分類で示すのが、「人種」です。

さて、教科書を読んでると、「セム語系の〇〇人」「インド=ヨーロッパ語系の〇〇人」などの名前が出てきます。

他にも、

アルタイ語族

シナ・チベット語族

オーストロネシア語族

オーストロアジア語族

アフリカ諸語族

アメリカ諸語族

こういった語族があります。

日本はアルタイ語族かシナ・チベット語族に属すると考えられていますが、はっきりとココ、というのは決まっていません。

いまのところ、この両方を混在したものとして考えられています。

さて、ではセム語系(語族)に属するのはどういった人々か?

アラブ人、北アフリカ人、ユダヤ人

そう、主に中東アラブ人系を指します。

え?ユダヤ人って白人のイメージが強いけど??

ユダヤ人はいまのイスラエルを見てると白人が多いと思うかもしれないけど、これは元々のセム語系の人々が長い年月をかけてインド=ヨーロッパ語系と混血してきた結果だと考えられています。

そういった意味では、教科書のはじめの方に出てくるユダヤ人と、いま我々が思うユダヤ人は同じようで違うと思った方がいいかもしれません。

とりあえず、元々のユダヤ人はセム語系でアラブ人と同じ語族に属するのです。

セム語系と同じく、ハム語系も聞いたことがあるけれど?

昔はそういった表現もあったが、いまは言われてないんだよ

かつては、エジプト文明を生みだした古代エジプト民族とその周辺の北アフリカのベルベル人などの言語を、ハム語族としていました。

この、セム・ハムの名称は、旧約聖書に出てくるノアの方舟からきています。

ノアの子であるセムとハムが由来です。

そしてセムとハムの子孫たちがそのままセム語系、ハム語系の民族と繋がっていくのだとされていましたが、言語学上なんの根拠もないことは明らかです。

いまではハム語系という表現はなくなり、セム語系だけ残っています。

そのセム語系も、今ではアフロ=アジア語族に括られるようになりました。

つまり、

【アフロ=アジア語族】

 この中で、セム語派・エジプト語派・チャド語派にそれぞれ分かれている

なるほど。セム語系(語族)っていう言い方もだんだん無くなっているのね。

では続いて、インド=ヨーロッパ語系(語族)についてお伝えします。

ヨーロッパ人、小アジア人、イラン人、インド人

ヨーロッパやインドが一緒なのは少し不思議な感じがしますが、インド=ヨーロッパ語系の民族は元々中央アジアを原住民としていました。

それが、紀元前2000年頃から起こった地球の寒冷化をきっかけに、西へ南へと移動し派生していったと考えられています。

地球は昔から寒冷化、温暖化をある大きな周期で繰り返してきました。

寒冷化は生死にかかわるので(寒さ以外にも食物が育たないと等)、移動せざるを得ない状況です。

中央アジアから西へ移動していってヨーロッパ人に、南へ移動していってインド人に繋がっていくんです

他にもインド=ヨーロッパ語系は中東地域に入っていき、イランや小アジアに定住し、長い年月をかけてだんだんとアラブ化していったと言われています。

このようにして、移動先の現地の民族と混血して長い年月をかけて現在我々がみている人種に繋がっていると考えられます。

今でも謎多きシュメール人

さて、メソポタミアではシュメール人から話が始まりますが、シュメール人は実は民族系統不明なんです。

シュメール人はメソポタミア地域でウル・ウラク・ラガシュといった都市国家を形成します。

その後、アッカド人セム語系がこの地域を支配します。

そして、アムル人セム語系がバビロン第一王朝をおこし、有名なハンムラビ王が登場します。

しかしそのあと、ヒッタイト人インド=ヨーロッパ語系が侵入。

彼らは鉄製の武器を使い、小アジアでヒッタイト王国を建設しています。

そして古バビロニア王国 (セム語系)を滅ぼします。

その後はセム語系とインド=ヨーロッパ語系の覇権争いが続き、アケメネス朝ペルシアが大帝国を築いて統一することでインド=ヨーロッパ語系の時代が続いていきます。

ですが最終的にはこの地はアラブ人による支配が定着して今に続きますので、セム語系に落ち着くことになります。

その中で、イランという国が今でもペルシア人(インド=ヨーロッパ語系)として君臨しているのです。

このように、戦いや移動を通して、民族が交わっていく感じですね。

だから教科書の初めの方にしか「〇〇語系」が登場しないわけです。

ちなみに、中央アジアから南に向かったインド=ヨーロッパ語系の人々は、インドの先住民ドラヴィダ人を征服・支配するために厳しい身分制度を設けたとされています。

それが今日のカースト制に繋がっていくのです。

また、紀元前1500年頃から活躍し、地中海交易を支配したフェニキア人はセム語系です。

興味ある人はこちらもどうぞ。

文字系統や言語、宗教、民族などで世界史をみていくと、奥行きが出てさらにおもしろくなっていきますよね。

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