ノルマンディー公国ってなに?

世界史の教科書には、よく「ノルマンディー公国」や「ノルマン民族」といった言葉が出てきます。

そもそもこの”ノルマンディー”っていったいなんなのか?

今日はここにフォーカスをあてて話をまとめていきたいと思います。

もくじ

実はすごい、ノルマン人の末裔

ノルマン人を簡単にいうと?

ヴァイキングは聞いたことがあるかな?
そのヴァイキングがノルマン人(北方の人という意)と呼ばれる者たちだよ。

北方の人ってことは・・・いまでいうノルウェーとかスウェーデンあたり?

そう。その場所はスカンディナヴィア半島と言って、そこに住んでいた人たちだね。
他には、ユトランド半島といっていまのデンマークの場所にもノルマン人が住んでいた。位置関係を確認しておこう。

緑:スカンディナヴィア半島、青:ユトランド半島

スカンディナヴィア半島とユトランド半島は意外と近く、対峙していることがわかります。

このヴァイキング=ノルマン人たちは9世紀頃に移動しはじめます。

なぜか。

ちょうど9世紀はフランク王国が西ローマ帝国を復活させた(といわれている)時代であり、その勢力図が急拡大しユトランド半島にまで及びはじめました。

それに反撃し、また、南方の世界の広さに刺激され、彼らは移動しはじめたといわれています。

ゲルマン人の大移動みたいだね

ヨーロッパにおける第二次民族大移動といわれているよ

そんなノルマン人ですが、なんと彼らはその後、現在のデンマーク王室やイギリス王室に繋がっていきますし、この後の歴史では神聖ローマ帝国皇帝位やロシアの前身ロマノフ朝へも繋がっていきます。

【ノルマン人の3部族】

・ノール人:ノルマンディー公国を経て、神聖ローマ帝国皇帝位や現イギリス王室へと繋がる

・デーン人:現デンマーク王に繋がる

・スウェード人:ノウゴロド王国、キエフ公国を経てロマノフ朝へと繋がる

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ノルマンディー公国を建国

ヴァイキング=ノルマン人たちは船を操るのが非常に得意です。

フランク王国の拡大に反撃すべく、いよいよ彼らは動き出します。

さて、フランク王国ですが、800年に即位したカール大帝が亡くなって以降、からきし弱くなっていきます。

王国はついには3つに解体されるわけですが、そんなときたびたび侵略してくるノルマン人に手を焼いていたようです。

ノルマン人は船でセーヌ川を遡りパリを包囲するほどまでに至っています。

また、ノルマン人のいち部族であるノール人ロロはセーヌ川河口に定着し、最終的にはその地を領有することが認められました。

これがノルマンディー公国となったのです。

ロロの家系はその後フランス化していきますが、11世紀、子孫であるギョーム2世(英語読みはウィリアム)はイングランドを征服し、ノルマン朝を興します。

これが後々、英仏百年戦争の火種になるとは、このとき誰が予想できたでしょうか。

すべてはノルマン人が進出し獲得したノルマンディー公国から始まるのです。

ノルマンディー公国の位置

イングランド征服

8世紀頃のイングランド(ブリテン島)は、アングロ=サクソン系の七王国がありました。

ところがノルマン人のいち部族であるデーン人が、たびたびこのブリテン島に襲撃をおこなっていました。

最終的には1013年にデーン人のスヴェンが制圧、イングランド王になりました。

スヴェンの子クヌートは、イングランドを征服しながらデンマーク王を継承し、スウェーデン・ノルウェー連合にも勝利、ノルウェー王位も手に入れたのです。

彼のこの一大勢力圏(イングランド・デンマーク・ノルウェー・スウェーデン南部)は北海帝国と呼ばれます。

しかし、この北海帝国はクヌート一代で終わってしまうよ

クヌート死後、イングランドはどうなったかというと、またアングロ=サクソン系のウェセックス家エドワードが国王に就きます。

しかし、エドワードには子がいませんでした。

そうなると、王位簒奪を巡って争いが起きます。

先ほどお話ししたロロの子孫ギョーム2世もその一人として参戦します。

【イングランド王位を巡る争い】

・ロロの子孫、ノルマンディー公国のギョーム2世

・ノルウェー王ハーラル

・エドワード国王の妃の兄弟であるハロルド

まずノルウェー王ハーラルがブリテン島に上陸し、ハロルドと対戦。

ハーラルが敗れます。

その後、ギョーム2世がブリテン島に上陸し、ハロルドと対戦。

勝利したのはギョーム2世でした。

これがかの有名なノルマン・コンクェストと呼ばれるものです。

この後、ギョーム2世はウィリアム1世としてイングランド王に即位。

ノルマン朝の始まりです。

このノルマン朝は、のちにプランタジネット朝やランカスター朝・・・など、名前は変わっていきますが、血脈としては同じです。

現在のウィンザー朝エリザベス2世女王も、元を辿っていくとウィリアム1世の末裔であることがわかります。

このウィリアム1世がイングランド王に即位したことが、その後英仏のもめごとになっていくのね。

ノルマンディー公国ではフランス王の下で臣従するけれど、イングランド王としてはフランス王と対等の関係になるもんね。

時代はこのあと、アンジュー帝国に繋がっていきます。

いかがでしたでしょうか。

ノルマン人って結構すごいですよね。

ヴァイキングという名前だけ聞くと、海賊をイメージする方が多いのではないでしょうか。

まぁ海賊というと略奪といった悪いイメージをしてしまいがちですが、実際のところは北海沿岸を征服して貿易上手だった、というところでしょうか。

いずれにしても彼らが強かったというのに間違いはなく、その証拠にヨーロッパの一大勢力として血脈が今でも続いているのがわかってもらえたと思います。

ちなみに、食べ放題のバイキングは和製英語で、もちろん日本でしか通じないから気をつけてね。

なんでこの名前をつけたんだろうな・・・?

日本人にとって北欧に対する当時の印象が、豪快に食べる様だったことからバイキングという言葉が使われたと言われているみたい・・・

歴史的経緯とはまったく関係ないのね・・・!

おすすめ書籍

「ヨーロッパ王室」から見た世界史|内藤博文著|青春出版社

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