イギリス国教会はなぜ生まれたのか?

イギリス史★★★/宗教史★★

イギリス国教会誕生の裏には、ある一人の王の「結婚」が絡んでいることをご存じでしょうか。

その王とは、ヘンリ8世。

彼はイギリスのテューダー朝2代目の王です。

そして、メアリ1世の父でもあります。

もくじ

イギリス国教会が生まれるきっかけは離婚問題!?

テューダー朝は1485年まで続いたバラ戦争のあと、ランカスター家傍流のテューダー家ヘンリがヨーク家子女と婚姻し、ヘンリ7世としてイングランド王に即位したところから始まります。

その子であるヘンリ8世は、アラゴン王女キャサリンとの離婚を認めようとしないローマ教皇と対立して、なんとカトリックを離脱、そしてイギリス国教会を作ってしまいます。

え?そんな簡単に作れるのか?

いいえ、そう簡単ではありません。

そもそもカトリックは「離婚」というものを認めていません。

でも、「離婚」ではなく「結婚そのものが無効であった」という認可をすることで事実上の離婚を可能とするケースはあったようです。

物はいいようだな…

でも今回のキャサリンとの離婚は「結婚そのものが無効であった」、ということにするには無理がある状況だったため、結局ローマ教皇には認められませんでした。

ちょこっと寄り道:このキャサリンはカール5世の母フアナの妹にあたります。つまりカール5世からすると叔母ですね。この頃、ローマ教皇はカール5世(神聖ローマ帝国皇帝)にちょっと後ろめたいことがあったんですね。だから、カール5世の叔母の離婚をヘンリ8世の一方的なお願いで認めるわけにはいかなかったとも言われています。

そこで、ヘンリ8世は1534年に国王至上法(首長法)を制定し、国王がイギリス国内の教会(国教会)の首長であると宣言しました。

事実上、カトリック世界からの離脱です。

さらに修道院を議会立法で廃止し、その広大な土地財産を没収したのです。

おいおい、そんなことしたらローマ教皇に怒られるだろ?

そうです、まさにローマ教皇から破門されました。

カトリックから離脱し、ローマ教皇から破門されても貫いたこの行動、なにがそうさせたのでしょう?

ヘンリ8世がどうしても離婚したかった理由とは?

ヘンリ8世はなんと生涯で6回結婚しています…!!

女癖が悪い、と言われている彼ですが、やはり世継ぎ(男子)がほしかったというのが実際のところでしょう。

一人目の妻は先ほど登場したキャサリン(アラゴン王女)です。

実はキャサリン、何度も死産や流産に見舞われてしまいます。

そんな中でも待望の男の子を出産したのですが、その子はわずか52日で亡くなってしまったようです。

その後、キャサリンとの間に後のメアリ1世となる女の子が生まれたものの、ついに男の子を産み育てることはできなかったようで、ヘンリ8世は世継ぎが望めないと思ったのでしょう。

先ほどお伝えした通り、法律を変えてなんとか離婚が成立します。

次に結婚をしたのがアン=ブーリンです。

アン=ブーリンはキャサリンの侍女でした。

そしてヘンリ8世の愛人でもありました。

この女性との間に、後のエリザベス1世になる女の子が生まれます。

でも男の子は生まれません。

そのうち、アン=ブーリンは宮廷生活で浪費に浸り、ヘンリ8世はアンの侍女であるジェーン=シーモアに心移りしていくのです。

最後、アンは結婚から2年後、国王暗殺の容疑および不義密通を行ったとして反逆罪に問われ、ロンドン塔で処刑されました。

この罪はどこまでが真実か、わからないですが…。

さて、3人目の妻がジェーン=シーモアです。

この女性との間に、後のエドワード6世となる男の子が生まれます。待望の男子です。

しかしジェーン=シーモアは出産後、すぐに亡くなってしまいます。

4人目はドイツ貴族の娘であるアン・オブ・クリーブスと結婚しますが、すぐに離婚。

5人目は元女官であるキャサリン・ハワードと結婚するも、彼女も姦通罪でロンドン塔で処刑されてしまいます。

最後、6人目はキャサリン・パーと結婚しますが、やはり子供には恵まれず、1547年にヘンリ8世は56歳で他界。

こうして、唯一の男子であったエドワード6世が跡を継ぎますが、残念なことに彼は15歳で亡くなってしまったのです。

ここでにわかに次の王の座を狙ったのが、ノーサンバランド公という人物です。

彼自身は王にはなれないので、彼は息子を、ヘンリ7世のひ孫であるジェーン・グレイと結婚させて、ジェーン・グレイをイングランド王女に仕立てようと画策したのです。

そうすることで自身が王家の一員になる、ということです。

しかしここで待ったをかけたのが、“ブラッディメアリー”ことメアリ1世です。

メアリ1世はヘンリ8世の子です。

しかも一人目の妻キャサリンとの間に生まれた子です。

自分が王の座を引き継ぐものだと主張し、ジェーン・グレイを捕えてロンドン塔で処刑してしまうのです。

ジェーン・グレイの在位期間は9日間。

彼女はまだ16歳でした。

こんな悲しいことってあるかしら・・・

勝手に担ぎだされて恨みを買って処刑されるなんて辛すぎるね。

王位はこの後、メアリ1世へと引き継がれます。

メアリ1世亡き後は、かの有名なエリザベス1世が登場します。

そのお話はこちらに続きます↓

ロンドン塔には幽霊が存在する!?

ロンドン塔はロンドンに4つある世界遺産のうちの1つです。

1070年代に建てられたようです。

1000年近くある歴史の中で、城・要塞・宮殿・牢獄など、さまざまな役割を担ってきました。

13世紀後半頃から監獄として使われるようになったと言われています。

そんなロンドン塔、先ほどの話にもあったように、監獄や処刑がされてきた場所でもあります。

そのため、怪奇現象や幽霊の目撃情報といった話もよくされるようで、まぁこれも観光名物の1つですね。

こういった歴史も知っていたら、ロンドン塔の観光も一味違うものになりそうです。

ロンドン塔幽霊の話はこの本にも書かれています

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