中世ヨーロッパ史★★
今回の主役はホットペッパーですが、時代はコロンブスの航海です。(1492年~)
みなさん、ホットペッパーが何かご存じですよね?
そう、トウガラシです。
では、ペッパーは?
コショウですよね。
なぜこのペッパーにホットがつくと、まったく別物のとうがらしになるのか!
コロンブス君に聞いてみましょう。
コロンブス、航海に出る
コロンブスはイタリアのジェノヴァ近郊で生まれたといわれています。
航海術を身につけて、西回りでインドへ向かおうとします。
地球は球体であることはわかっていたので、とにかく西に進めばインドに辿りつくはずだ、と思っていたようです。
そもそもどうして未開拓の西回りを選んだのか?
東はイスラム商人が牛耳っていたからと言われています。
既にできあがっている路をいく、という意味ではインドにはいつか”辿りつける”ので安心できますが、慣れた地でもないところに商売をしに行くわけです。
お金もかかるし命も危ない。
かといって、イスラム商人が買い付けたものを手に入れるには高すぎる(特に香辛料)。
普通の人々は手が出せない金額です。
なんとかこの東の路を使わずしてインドへいけないか?
そう考えたのではないかと思います。
とにかくお金がかかる
じゃあ西回りで行くとして、出発~!とはいかないわけですよね。
準備と実行に莫大なお金がかかります。
そしてうまくいく確信もない。
コロンブス1人の財では、とてもでないけど行けないわけです。
そしていろんな王に西回りの話を持ちかけます。
興味深く聞いてくれる人もいますが、しかしなかなか援助まで漕ぎつけることができません。
そんなとき、チャンスがやってきます。
1492年、グラナダが陥落。そう、歴史的にはレコンキスタ完了。(この話はまた別の回で)
キリスト世界にとって念願の失地回復です。
この勢いそのままにカスティーリャ(スペイン)のイザべラ女王を口説き落とし、莫大な資金援助を約束させたのです。(レコンキスタおめでとう!この勢いで新しい航路、開拓しない?的な感じかしら…)
必ずや、海を渡ってインドへ行き、コショウを手に入れます!と、言ったのかもしれません。
なぜ、コショウ(香辛料)はこんなに人気なのか?
いまは当たり前のようにさまざまな香辛料を手に入れることができますよね。
しかも安価に。
当時はものすごい価値だったわけです。
なぜか。
ヨーロッパって意外と緯度も高くて冬は寒いんですよ。
でもあまりいい土地じゃないから作物育てるにも一苦労。
そのため、冬を乗り切るための食糧は主に家畜だったりするわけです。
その家畜も無限にあるわけではない。
肉をできるだけ長く保存するために、香辛料の役割はとっても大きかったのです。
インドではなくアメリカに到達
西に向かって船を進めていくと、陸地が見えてきた。
このときの興奮はとんでもないものだったでしょうね。
後にカリブ海に浮かぶ島々は、西インド諸島と名付けられます。
ご存じのとおり、コロンブスはインドに到達したと思っていたわけです。
でも、実際は違った。
お目当てのコショウなんて見当たらない。
ここはインドではないのか?
と、すぐ察知したのかどうかはわからないですが、とりあえずコショウはありません。
そして見たことないモノに出会うのです。
アメリカ大陸産の植物
新大陸発見なわけですから、今までにはない、その土地特有の食べ物(植物)がたくさんあります。
トマトやじゃがいもも南アメリカ大陸原産ですから、今までにはなかった食べ物です。
そしてとうがらしもそうです。
この赤色のもの、なんだろう、食べてみたらピリピリする、汗が出てくる、辛い!
あろうことかコロンブス、このとうがらしを”ホットペッパー”と名付けてしまいます。
見た目も味も、コショウ(ペッパー)とは全然違うのに、です。
コショウ探しに行くくらいですから、いくらなんでもコロンブスは見た目も味も知っていたでしょう。
なにの、なぜ・・・?
ホットペッパーと言わざるを得なかった?
コロンブスがイザべラ女王を説得するために使ったのが、新航路による香辛料貿易の膨大な富と、黄金の国ジパングだったのだ。
こんな大風呂敷を広げて資金援助を受けているのだから、いまさらインドにたどりつけなかったなどと言えるはずがない。
そのために、彼はトウガラシを「ペッパー」と言い張ったのかもしれない。
そしてコロンブスは、アメリカ大陸発見の後も自分が発見した場所がインドであると主張し続け、黄金の国ジパングを探し続けるかのように、死ぬまでアメリカ大陸の探検を続けたのである。
「世界史を大きく動かした植物」著者:稲垣栄洋 発行所:株式会社PHP研究所
作者も、もしかしたら…という推測の域で書かれていますが、これが本当ならおもしろいなと。
ペッパーを探しに出たけど、見つけられないからとりあえずこのピリリとしたやつをホットペッパーと呼んでおこう、新しいものだし、万一ペッパーと認めないにしても誰も否定できる理由もないだろう…!
と、思ってたならおもしろいなとわたしも想像が膨らみます。
そして、後世、わたしたちが普通に使ってる言葉として根付いているわけで、あまり違和感すら抱かなかったことを考えると、なんともコロンブス、してやったりだなと。
ぜひこの話、引用させていただいた本で読んでいただきたいです。
他にもおもしろい植物と世界史の話が展開されています。
最後にコロンブス君、結構いたるところに名前が残っています。
ワシントンD.Cもその一つ。
アメリカの首都ですが、D.Cを略さずに言うと「District of Columbia」(コロンビア特別区)です。