「キリスト教」とひとくくりにしていますが、実は大きく3つに分かれています。
始まりは「キリスト教」だったのが、あることをきっかけに東方正教会とローマ教会に分かれます。
そしてさらに時代をくだっていくと、プロテスタントが生まれます。
そもそも、東方正教会とは何か?ローマ教会とは何か?
両者の違いを確認しながら、現代につながる「キリスト教」を紐解いていきましょう。
ローマ帝国がキリスト教を国教化
まず、キリスト教がローマ帝国に認められたのは313年のミラノ勅令からです。
それまでのキリスト教はローカルな宗教の1つであり、多神教のローマ帝国にとっては一神教のキリスト教などむしろ危険な宗教として迫害していたほどです。
ところが、コンスタンティヌス1世の治世でキリスト教が公認されました。(=ミラノ勅令)
公認された明確な理由はわかっていませんが、ローマ帝国の内乱が長引いていたことに関連しているかもしれません。
つまり、帝国内を統一するために一神教が都合がいいと考えられたのかもしれないのです。
さて、そんなキリスト教ですが、あれよあれよという間にローマ帝国の国教にまでなります・・・!
なんと、熱心なキリスト教徒だった当時のローマ皇帝テオドシウス1世が、392年にキリスト教を国教化したのです。
そして、ローマ帝国における他の宗教を禁じました。
ローマ帝国の分裂と、キリスト教の分裂
時は前後しますが、ミラノ勅令が出る1年前に、ローマ帝国は首都をローマからコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)に移します。
また、キリスト教国教化の3年後、ローマ帝国は東西に分裂しました。
その後、西ローマ帝国は476年に滅亡します。
ローマ帝国分裂とは反対にキリスト教は繁栄していき、一方でローマ帝国自体は東へ本丸を移したようです。
この帝国の東西分裂が、キリスト教の分裂を生み出しました。
源流を同じくしていたキリスト教が、東方正教会とローマ教会に分かれてしまうポイントです。
五本山について知ろう
キリスト教は大きく5つの拠点に分かれていました。
- ローマ
- コンスタンティノープル
- アンティオキア
- イェルサレム
- アレクサンドリア
これをキリスト教会の五本山と言います。
この5つの教会は首位権を巡って争っていましたが、時代が進むにつれてアレクサンドリアとイェルサレム、アンティオキアはイスラム帝国の支配下へ取り込まれていきます。
結果、残ったローマとコンスタンティノープル。
ローマ教会は西ローマ帝国の保護下に、コンスタンティノープル教会はビザンツ帝国(東ローマ帝国)の保護下に入りました。
しかし、西ローマ帝国は滅亡します。
ローマ教会は宗教権威はあるものの、もちろん軍事力はありません。
皇帝がいなくなったいま、孤軍奮闘です。
東ローマ帝国はその後もコンスタンティノープルを拠点として生き続けるわけで、そこには皇帝もいます。
そんなローマ教会のピンチを救ったのがピピンの寄進であり、カール大帝の登場だったのです。
このあたりの話はこちらを参考にしてください↓↓
その後、聖像禁止令を巡って東西対立は深まる一方。
1054年にキリスト教会はついに完全分裂し、西のローマ教会は「ローマ=カトリック」、東のコンスタンティノープル教会は「ギリシア正教」と名乗るようになっていきました。
東方正教会とは何か?
東方正教会:ギリシア語を聖なる言語として聖書にしたためた。しかし、布教するにあたり現地語を使用することを認める。聖典、教理、典礼、教会統治の理解は一致しているが、現地での自己管理を認めたため、アルメニア正教会やロシア正教会、ギリシア正教会等、現地の正教会が生まれた。聖画(イコン)は認めているが聖像は正教会にはない。
正教会のトップは総主教と呼び、これはローマ・カトリック教会でいうローマ教皇に相当する地位です。
各国の正教会の首長に総主教がいて、総主教が聖職者の最高位とされています。
ゆえにピラミッド型組織であるカトリック教会とは一線を画しています。
また、世俗の権力者(当時の皇帝、現代だと大統領等)と正教会はひっついてるイメージです。
世俗世界に包括されているというか。
そのため正教会が単独で動くことはありません。
ローマ教皇が教皇領をもったり破門を言い渡したりする、こういった点でも教会の立ち位置の違いがわかりますよね。
東方正教会はキリスト教世界の中でも最も伝統を重んじる教会です。
また、みなさんがイメージする十字架は使いません。
縦が長くて横が少し中心より上にある十字架は「ラテン十字」です。
ギリシア十字は完全な縦横同じ長さの十字ですし、ロシア十字はもう少し複雑な十字架模様です。
※ロシア十字といっても、ロシア正教会以外の各正教会でも使われているようなので名称として正しいかは疑問が残ります。日本では「八端十字架」と表記されています。
参考:ロシア十字 画像
ローマ・カトリック教会とは何か?
ローマ・カトリック教会:当初はラテン語を使用し、その他の言語を使うことを認めなかった。しかしそれは教会の統一性という点では優れているが、ラテン語ができない人には布教が困難とわかる。そのためローマ・カトリック教会では宗教画が重要な役割を果たす。なお、後生ではラテン語の聖書を現地語に訳す者たちが現れ、これが宗教改革に繋がっていく。ローマ・カトリック教会はローマ教皇を最高位としたピラミッド型の組織となっている。
後にプロテスタントが生まれカトリックと対立していきますが、プロテスタントも宗派はいくつも分かれており一枚岩ではありません。
いまではプロテスタントというとカルヴァン派を指すことが多いです。
カトリックは儀式や伝統を聖書と同じように重んじます。
一方で、プロテスタントは聖書の教えだけを信仰の拠り所とします。
プロテスタントの教会は質素ですが、カトリックの教会は聖像や聖画がゴテゴテに飾られた豪華なつくりになっているのですぐに両者の違いはわかるようです。
また、カトリックは「神父」がいて、プロテスタントには「牧師」がいます。
歌についてもカトリックは「聖歌」と言いますが、プロテスタントは「賛美歌」と言います。
なんだかカトリックとプロテスタントの違いの話になってきましたね・・・もちろん両者はもっと違いがありますが。
ところで牧師がいて賛美歌歌うってことは、日本の教会風の場所で行う結婚式はプロテスタントということなのかな?笑