紀元前からイスラム教の出現まで、オリエント地域ではさまざまな王朝がありました。
各王朝の都をまとめました。
それぞれの歴史ある都をみていきましょう。
古代オリエント世界①〜ヒッタイトからアケメネス朝まで〜
王国 | 時代 | 都 | 現在の地域 |
---|---|---|---|
ヒッタイト | B.C.1600頃〜B.C.1190頃 | ハットゥシャ | トルコ |
バビロニア | B.C.1600頃〜B.C.980頃 | バビロン | イラク |
アッシリア | B.C.715〜B.C.525 | ニネヴェ | イラク |
リディア | B.C.680〜B.C.546 | サルデス | トルコ |
メディア | B.C.728〜B.C.550 | エクバタナ | イラン |
新バビロニア | B.C.625〜B.C.539 | バビロン | イラク |
アケメネス朝ペルシア | B.C.525〜B.C.330 | スサ他 | イラン |
ヒッタイト
ヒッタイトの都、ハットゥシャの場所は現在のトルコ・ボアズキョイです。
トルコの首都アンカラから東へ約200kmいったあたりで、当時の遺構が残っています。
ヒッタイトは最も早く鉄器を使用した王国として有名だよ
バビロニア
バビロニアの都であるバビロンはティグリス・ユーフラテス川の間にあり、現在のイラクの首都バグダッドから南へ約85kmいった先にあります。
かなり広大な遺跡群のようで、まだ発掘作業は続いています。
2019年に世界文化遺産としてバビロンは登録されたよ
アッシリア
アッシリアのニネヴェは現在のイラク北部モースル市の近郊にありました。
ニネヴェといえば、なんといっても図書館!
現代でいう図書館ですが、当時の感じだと情報センターというところでしょうか。
粘土板に楔形文字で書かれており、それらは3万枚前後見つかったとも言われています。
この中に有名な「ギルガメシュ叙事詩」も含まれています。
アッシリア王・アッシュルバニパルがニネヴェ図書館を建設したとされているよ
リディア
リディアのサルデスはトルコ西部に位置する都でした。
アケメネス朝ペルシアに支配された後も、小アジアを支配するための拠点として使われました。
リディア王国は世界最古の金属貨幣が使われたことで有名だよ
メディア
メディアのエクバタナは現在のイラン高原ハマダーンあたりにありました。
イランの首都テヘランからは南西約360kmの位置です。
アケメネス朝ペルシアやその後のパルティアでも夏の王都として繁栄したよ
アケメネス朝ペルシア
最初の王都はキュロス2世が建設したパサルガダエですが、その後行政上の都はスサへ。
また、ダレイオス1世が祭儀の都としてペルセポリスを建設。
さらに夏の都としてはエクバタナ(メディアの王都)も王都として使われました。
スサといえば、王の道の起点としても有名です。
王の道はスサから出発し、途中ニネヴェ(元アッシリアの王都)を通ってサルデス(元リディアの王都)まで繋がるんだ。今まで他の王国で都となった場所がここでも出てくるね。
古代オリエント世界②〜アレクサンドロス帝国からアッバース朝まで〜
アケメネス朝ペルシアがアレクサンドロス大王に滅ぼされた後、オリエント世界は一旦リセットされます。
アレクサンドロス大王の死後、オリエント世界は大きく3つの王朝に分かれます。
王国 | 時代 | 都 | 現在の地域 |
---|---|---|---|
セレウコス朝シリア | B.C.312〜B.C63 | セレウキア→アンティオキア | トルコ |
アンティゴノス朝マケドニア | B.C.276〜B.C168 | ペラ | ギリシャ |
プトレマイオス朝エジプト | B.C.304〜B.C30 | アレクサンドリア | エジプト |
パルティア | B.C.248〜A.D.224 | ヘカトンピロス→クテシフォン | イラク |
ササン朝ペルシア | 224〜651 | クテシフォン | イラク |
イスラム帝国ウマイヤ朝 | 661〜750 | ダマスクス | シリア |
イスラム帝国アッバース朝 | 750〜1258 | バグダード | イラク |
セレウコス朝シリア
セレウコス朝はアレクサンドロス大王死後、一番長く続いた王朝ですが途中でパルティアやバクトリアが独立していきます。
そんなセレウコス朝シリアの王都は、はじめはセレウキアという場所でしたが、すぐにアンティオキアに移されました。
地中海沿岸の都であることがわかりますね。
アンティオキアはユーフラテス川との間に作られた主要な運河とチグリス川の合流点に位置していたから、水路を通じた交通の要衝だったんだよ
アンティゴノス朝マケドニア
アンティゴノス朝マケドニアのペラは現在のギリシャ北部の都市テッサロニケの北方に位置しています。
マケドニア人の王朝だったけれど、紀元前168年にはローマに滅ぼされ、属州となってしまったよ
プトレマイオス朝エジプト
ここは有名な場所ですね。
アレクサンドリアはアレクサンドロス大王がエジプトに建設した都市です。
ヘレニズム時代の地中海貿易や文化の中心地として栄えました。
プトレマイオス朝エジプトは紀元前133年にローマの属州となり滅亡したけれど、その最後のファラオがかの有名なクレオパトラ(7世)なんだよ
パルティア
パルティアは紀元前248年にセレウコス朝シリアから独立します。
王都ははじめはヘカトンピロスですが、のちにクテシフォンに移されます。
このクテシフォンは、パルティアを後に滅亡させることとなるササン朝ペルシアにとっても王都ととなるため、長く栄えます。
ティグリス川東岸にあり、交易の中継地として栄えますが、イスラム帝国が出現するとクテシフォンは廃墟の道を辿ります。
クテシフォンにはホスロー1世の宮殿の一部が残っているよ
ササン朝ペルシア
パルティアと同じく、クテシフォンを王都としました。
ウマイヤ朝
ここからはイスラム帝国が出現します。
イスラム帝国最初の王朝はウマイヤ朝で、首都はダマスクスです。
今のシリアですね。
現存する最古のモスクがダマスクスにあります。
ウマイヤ朝時代にイスラム帝国はヨーロッパ(イベリア半島)にまで進出しているよ
アッバース朝
ウマイヤ朝に代わって次の王朝をはじめたのはアッバース家です。
アッバース朝の首都はバグダードに移されます。
バグダードは現在のイラクの首都でもありますよね。
この後、西アジア・中央アジアではさまざまな王朝が出現し、オスマン帝国に繋がっていくよ