紀元前史★★/民族史★★★/オリエント史★★★
フェニキア人は紀元前1500年頃から地中海交易活動をおこなっていたセム語系の民族です。
東地中海南岸あたり(シドンやティルス)を拠点として活動していたけれど、どんどん範囲を広げて地中海の交易にのりだしていったようです。
緑のあたりですね。
そしてフェニキア人、地中海交易にのりだすにあたって、もちろん船がいるんですが、このあたりにあったレバノン杉を船材として使っていたようです。
いまのレバノンの国旗の真ん中にある木がまさにレバノン杉です。
今ではレバノン杉、かなり数が少なくなっているようです。
ちなみにレバノンの世界遺産に「レバノンのカディーシャ渓谷と神のスギの森」があります。
さて、フェニキア人ですが、交易を広げていくなかで、植民市の建設もしてきました。
そう、西地中海にあるカルタゴです。
いろんな都市からシドンやティルスに集まった商品が、地中海交易を経ていろんなところに輸送されていったようで、特にカルタゴは重要な拠点だったそうです。
ちょうど地中海の真ん中に位置してますからね。
いろいろと便利だったのでしょう。
フェニキア人の交易の中心は、だんだんとカルタゴに移っていったようです。
そしてこのカルタゴ、イベリア半島のカルタヘナ、アルメリア、バレンシア、バルセロナなどに植民市を作っていったようで、シチリア島の西半分も支配したのです。
こののち、ローマ軍と戦うこととなったポエニ戦争に繋がっていくわけですが、カルタゴは約700年にわたって栄えた都市です。
ポエニ戦争に負けて跡形もなくなってしまったカルタゴに代わって地中海を支配したのはローマですが、遠くはフェニキア人が開拓していった航路なんですよね。
何もないゼロから商業圏を築いていったフェニキア人は、すごいと思います。
このあと続く長い地中海交易の基礎を作ったわけですから。
そしてフェニキア人、もう一個すごいことしてます。
いまに続くアルファベットの起源を作ったのです。
古代エジプト文字から原カナン文字がつくられ、その表音文字から線状のフェニキア文字を作ったとされます。
なんのこっちゃですが、とりあえずアルファベットの原型のようです。
実はこのフェニキア文字がギリシアに伝わってギリシア文字になり、エトルリア文字、ラテン文字へと繋がっていきます。
ギリシア文字はキリル文字を経てロシア文字にも派生します。そしてフェニキア文字は果てはゲエズ文字(エチオピア文字)、アラビア文字、アルメニア文字、モンゴル文字…etc
ほんと、フェニキア文字はあらゆる文字に繋がっていくんですよね。
フェニキア人はカルタゴが滅亡して以降、歴史の表舞台から消えていくことになります。
その後どうなっていったのか。
少し興味深い記事がありました。
古代の地中海で活躍したフェニキア人のDNAが、地中海周辺の人々に広く受け継がれていることが分かった。この地域の男性の17人に1人が、海上交易の商人として知られるフェニキア人のDNAを持っていた。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/
もしそうだとしたら、なんか嬉しいですね。
人類史が脈々と繋がっていると実感できます。